データの分析
以前にRFM分析について説明しましたが、データは分析してこそ役に立ちます。
データを蓄積するだけでは宝の持ち腐れで何の役にも立たないのです。
しかし、データ分析は本格的に実施しようとするとかなり専門的な知識を必要とし、それなりのコストがかかります。
今回は、データの分析そのものが目的ではなく、分析結果をビジネスに活用することを目的とした場合に何をどうすればいいのかを考えてみたいと思います。
■分析の必要性
ずっと昔は、欲しいものはオーダーして作ってもらうというのが当たり前でした。というより大量生産されたものなどなかったので、欲しいものは作ってもらうしかなかったのです。
それが、大量生産により、必要とするものはオーダーしなくても手に入るようになったのです。オーダーと違って多少満足のいかないところがあっても少し妥協することで安くその場で手に入るのです。
しかし、生活が豊かになるにつれて、この大量生産した品物を皆が購入するという構図が崩れ、他人が持っていない個性的な物が売れる時代に移行してきたのです。
つまり、少品種大量生産では、市場で生き残ることは難しく多品種少量生産または、制限付受注生産をいかに効率よく実現できるかが企業に要求されているわけです。
究極は、自分の希望どおりの仕様のパソコンを大量生産品と同じかそれより安く、そして早く提供するというデルコンピューターのスタイルです。
この利点は、大量生産品と異なり消費者が妥協する必要が少ないこと、そして、価格が安く、納期が早いことです。
つまり、「オーダー」で「安く」、そして「早いこと」がこれからのビジネスのキーワードなのです。
しかし、顧客にとって好都合なこの仕組みを実現することは非常に難しく、実現するためには、緻密なデータ分析が必要となるのです。
なぜなら、「オーダー」といっても厳密には「セミオーダー」であり、いくつかのパターンがあらかじめ用意されていて、その中から部品を選んで結果として限りなくオーダーに近い感覚に消費者をさせているのです。
そのためには、いくつかのパターンをあらかじめ用意することが必要になりますが、無限にパターンを用意することはできませんので、どのパターンが必要かを判断するためにはデータ分析が必要になってくるのです。
その他、営業戦略の立案、顧客の離反防止、新製品企画開発、在庫管理など全てにわたってデータ分析は必要であり、データの有効活用が企業にとって非常に重要になっているのです。
■分析について
インターネットマーケティング関係の書籍には、必ずといっていいほど「データマイニング」という言葉が出てきます。
私は「大量のデータを分析して、そのデータの中に潜んでいる法則などを見つけ出す技術」と理解していますが、専門的にこれを実現しようと思うと大変な勉強と費用、そしてデータを蓄積するための時間が必要となります。
また、データマイニングは、仮説を立てないで大量のデータの中から法則を見つけ出す手法なので、ある程度まとまったデータがないとビジネスに役立つ法則を見つけ出せないかも知れません。そのためデータマイニングについては、別の機会に譲ることにしますので興味のある方は、専門書をお読みください。
さて、データを分析するためには、まずデータベースが必要です。データベースになっていなければ、とても分析などは出来ません。
データの種類も顧客データ、在庫データ、製品データなど多岐にわたります。
データといっても、文字データや画像データ、時系列データなど様々です。
また、きちんと整備されたデータなのか、歯抜けのデータなのかにもより考え方が変わってきます。
しかし、これらのデータを分析する際に共通する基本的なことは、データのグループ化と抽出です。
さて、実際にデータを分析するといっても何の方針も無いとしたらどうしてよいのか分かりません。ビジネスのおいては、良い顧客を見つけ出したり、新製品の開発するなど何らかの目的があるはずです。
その目的に添って答えを導くために分析を行うわけです。
まず最初に行うことは、データの確認整理です。
分析に際してデータが重複していたり、不正確なデータが大多数では話になりません。それらのデータをどうするかを決めて整理する必要があるのです。
この作業は事前作業として重要で、結果に大きく影響するのでまず行わなければなりません。
たとえば、WEBアンケートを実施した場合等、プレゼント目当てで質問など読まずにいい加減に回答しているデータが大半を占めるとすれば、いくら分析しても意味が無いのは説明するまでもありません。このような場合、いくつかの質問にいい加減に回答しているかどうかを判断するためのチェック問題を含めておいて、矛盾する回答を発見し、その回答を除外するなどの方法も検討する必要があります。
ただ、分析の目的によってどのデータを削除してどのデータを生かすかの判断は変わりますので、十分に検討してデータを確認し整理する必要があります。
次に、実際の分析ですが、基本的には漠然と分析していてもビジネスに役立つ情報を導き出すことは出来ないので、「Aという商品はどんな客層に売れているのか?」とか「Bという製品の最も売れている仕様は?」等具体的に分析の目標を定めることが必要になります。そうした、目標なり方針があれば、「Aという商品は○○の効果で30代の既婚女性に売れている」といった○○の部分を発見できる可能性は高くなります。
また、分析結果は、数字の羅列した表では見難くなれていないと法則や傾向といったものをつかみ難いので、視覚的に分かりやすいグラフなどを利用することが望ましのです。
ここで大切なのは、分析は、単なるグループ化と抽出で終わるのではなくそこから何らかのビジネスに役立つ情報を見つけ出すことなのです。
つまり、先の例で、「Aという商品は30代の既婚女性に売れている」という結果では単に分類したに過ぎないということです。
そして、ビジネスにおける分析で欠くことが出来ないのが時系列分析です。
先の分析は、時間を考慮していないため、売上が伸びてきているのか落ちてきているのかといったことが分かりにくい。そのような場合に時系列分析を行うことによって先月と今月の差や全体の傾向を読み取ることが出来るのです。
たとえば、インターネットマーケティングという事からWEBサイトのクリック数などは誰もが気になるところだと思いますが、合計アクセス数が仮に10万人だとしても時系列データで分析してみるとアクセス数が減少傾向にあるのか、増加傾向にあるのかは人目で分かります。その為には、合計アクセス数だけでなくある期間を定めてその間のアクセス数を分析することが必要です。
一般的には、日単位でアクセス数を把握しておくことが多いのですが、この方法だと一日の中でどの時間帯がアクセスが多いのかといった基準とした単位以下の分析は出来なくなります。そのため、時系列分析の場合、単位を設定することが大切になってくるのです。
時系列分析がしっかりと行われていれば、何曜日の何時ごろにWEBサイトに情報を発信したらどのようなターゲットに効果が期待できるかが予測できるのです。
また、販売分析についても簡単に説明しておきましょう。
営業では常に販売目標があり、その目標に対してどの程度達成できたかが重要になってきます。そして、月報や週報などの分析も行うことは多いと思います。
たとえばある会社が一月に、希望販売価格1,000円の製品を5000個販売する目標を立てたとします。この場合、月の売り上げ目標は、5,000,000円となります。
しかし、実際には希望販売価格では売れず950円で4000個しか売れなかったとします。
その結果、売り上げは3,800,000円となり目標売り上げに対して76%の達成率となります。これで、報告書が終わったのでは、分析したとは言えませんのでもう一歩踏み込んで、目標を達成できなかった原因が値引きなのか販売数量なのかを検証してみる必要があります。そのためには、次のような簡単な計算が有効です。
値引きによる影響:値引き額×販売数→ 50×4,000=200,000円
数量減による影響:希望販売価格×不足販売数量→1,000×1000=1,000,000円
つまり、目標に届かなかった金額の120万円の内20万円が値引きが原因で、100万円が販売数量減によるものだということがわかるのです。
■分析結果の信頼性
分析の結果、ビジネスに役立ちそうな法則が発見できたとします。しかし、その分析の過程で「そうなるはずだ」という思い込みが分析者にある場合など、結果が間違えていることもあります。
分析には実測値と理論値がありますが、分析結果が単なる誤差を法則と考えてしまっては意味が無いからです。
たとえば、コインを投げれば必ず表か裏のどちらか2分の1の確率で出来ますが、10回投げただけでは、場合によっては2回が表で8回が裏ということがあるかもしれないのです。回数が多くなれば理論値である2分の1に近づいて来るはずですが、10回程度では必ずしも理論値に近いとは限らないからです。つまり、コインで考えれば誰でもそんなはずがないと分かる「表の出る確率が20%で裏の出る確率が80%」というような分析結果と同じような過ちを犯さないことが大切なのです。
その為には、「相関分析」を行う必要があります。相関分析は、因果関係のあると思われる2つの要素が本当に関連性があるのかをチェックするもので、表計算ソフトのExcelにもCORRELという相関係数がありますので一度お試しください。
■まとめ
データベースに蓄積されたデータを分析するという観点から、今使っているデータベースを見たときに、どれだけの分析が可能でしょうか?
市販のデータベースは、あくまでデータを蓄積することが主目的で分析面が優れているものは少ないように感じます。たとえば複合検索などほとんどのソフトが出来るようですが、その内容には大きな差があります。管理している項目の内、限られたほんの数項目について複合検索が出来るだけのものから、管理項目全てを対象に複合検索できるものまで差があるのです。
つまり、ビジネスでデータベースを活用する場合、どの程度の分析機能をもったデータベースなのかという視点で選ぶことが大切であることと、独自に開発する場合、どのような分析が必要なのかをあらかじめ考えて開発してもらっておくことが必要なのです。
そして、データを分析することは過去の実績を正確に把握することであり、未来を予測することではありません。未来を予測するのは多くの場合、人の判断に頼らざるを得ないのです。
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