誰でも、顧客とのトラブルは避けたいし、クレームもないようにしたいと思っている。
しかし、どんなに気をつけていたつもりでもやはり色々と問題は発生してしまう。

トラブルやクレームがうまい具合に解決出来れば、顧客をつなぎとめておくことが出来るし、場合によっては、トラブル発生前より深い関係を築くことも出来るかもしれない。

しかし、本来はトラブルやクレームが発生した後ではなく、発生する前に回避し、さらに信頼関係をより深めることが大切なのである。

例えば、時計の修理ビジネスを行っている私の友人の話をご紹介しよう。
腕時計の電池は、なんとなく2年間は持つという感覚をもっている人が多いと思うが、それは、新品の時であり、何年かに一度オーバーホールをしないと、電池交換だけを繰り返してもオイル切れの状態になり内部抵抗が増えて新品の電池に交換しても電池が1年も
持たないようになってしまうらしい。

普通の人は、電池を交換すれば2年は持つと考えているにも関わらず、1年ももたなかったとしたら、「電池が古かったのでは?」とか「電池交換の時に壊したのでは?」などといった疑問が湧くのは、当然といえば当然である。

こうした疑問を懐かせたら、「次の電池交換は別の店で」と大半の顧客は考えるし、クレームになることも想像できる。

そこで、友人は、電池交換の時に単に電池を交換するだけでなく、内部の抵抗を測定することで電池の寿命を予測し、「電池交換だけしても1年程度しか電池が持ちませんよ」といった説明をするようにした。

予測した頃に時計の電池が切れると顧客は、不信感をいただくのではなく「電池交換の時に言っていたことは正しかった」という信頼感を懐き、「あの店でオーバーホールを依頼しよう」という気になるわけです。

つまり、本来クレームにつながりそうなことであっても、事前に原因を予測し、それに対して適切な処置を施しておけば、トラブルではなく信頼を高め、さらに別の仕事も受注する可能性も生まれるのです。

「電池が予定より短い時間で切れる」という顧客にとってはマイナス要因の現象に変わりはなくても、不信感を懐かせるのと、信頼を勝ち取るという全く異なる結果をコントロールできるということです。